パーキンソン病の方へ
はじめに
- 当社は、パーキンソン病の方の日常生活の困りごとの解決や、やりたいことの実現のために協力したいと常々考えています。
- そこで、「自宅でHAL」というご自宅で装着型サイボーグHALを用いた運動プログラムを提供するサービスを開始し、パーキンソン病の方への支援の一助となるよう努めております。
- 併せてパーキンソン病の方向けの情報提供もできたらとの想いで本ページを開設しました。皆様の生活に少しでも役立つことがあれば幸いです。ご興味のある方は是非ご覧ください。
パーキンソン病の基礎知識
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パーキンソン病は、中脳の黒質ドパミン神経細胞が減少することにより発症する進行性の神経変性疾患です。この病気は、ドーパミンという重要な神経伝達物質を生成する細胞の損失が特徴で、ドーパミンは身体の動作や動きのスムーズさを司っています。その結果、患者さんは震え、筋肉の固さ、動作の遅さ、バランスと協調性の問題など、一連の運動障害に直面します。
この病気の発症は、通常、少しづつ進行し、初期段階では軽微な症状が見られることが多いですが、時間の経過とともにこれらの症状は悪化し、患者さんの日常生活に大きな影響を及ぼすようになります。パーキンソン病は、主に50歳以上の成人に発症することが多いとされていますが、より若い年齢で発症する「若年性パーキンソン病」という形も存在します。
パーキンソン病の治療法は現在のところ病気を根本から治すものではありませんが、薬物療法や理学療法、場合によっては外科手術を含むさまざまな治療が症状の管理と患者さんの生活の質の向上を目的として提供されています。また、患者さん自身が病気と上手に付き合っていくための生活スタイルの調整も重要な役割を果たします。
パーキンソン病は世界中に広く分布しており、年齢が高くなるにつれて発症リスクが高まるという特徴があります。現在、全世界で約1000万人がパーキンソン病に罹患していると推定されていますが、これはあくまで概算であり、潜在的な未診断の症例も多数存在する可能性があります。特に、発展途上国では診断率が低いことから、実際の患者数はさらに多いと考えられています。
パーキンソン病の発症は主に60歳以上の高齢者に多く見られますが、40歳や50歳の比較的若い年齢で発症するケースも報告されています。この病気の発症率は男性の方が女性よりもやや高い傾向にありますが、病気が性別によって大きく異なるわけではありません。
パーキンソン病の主な症状には、震え、筋肉のこわばり、動作の遅さ、およびバランスと協調性の問題が含まれます。これらの症状は、特に病気の初期段階では、一般的に片側の身体にのみ現れますが、時間が経つにつれて両側に影響を及ぼすようになります。
震えは、特に安静時に最も顕著で、丸薬を丸めるかのような特徴的な震えが見られることがあります。筋肉のこわばりは、患者さんが動作の困難さや痛みを訴える原因となることがあります。動作の遅さは、日常生活の単純なタスクを遂行するのに時間がかかるようになります。姿勢やバランスの問題は、特に歩行時に転倒のリスクを高めます。
パーキンソン病には、非運動症状も多く、これには睡眠障害、認知障害、うつ病、不安、自律神経系の問題などが含まれます。これらの症状は治療が難しく、患者さんとその家族に大きな影響を与えます。
パーキンソン病の原因は完全には解明されておらず、遺伝的要因、環境的要因、そしてそれらの相互作用が病気の発症に関わっていると考えられています。一部の家族では、特定の遺伝子の変異がパーキンソン病のリスクを高めることが示されていますが、これらの遺伝的形式は全症例のごく一部を占めるに過ぎません。
環境要因としては、農薬や溶剤といった化学物質への長期間の曝露が、パーキンソン病のリスクを高める可能性があるとされています。また、重度の頭部外傷の既往がある人々も、将来的にこの病気を発症するリスクが高いことが示されています。それにもかかわらず、多くのパーキンソン病患者には明確な原因が見つかっておらず、「特発性パーキンソン病」と呼ばれています。これは、現在のところ特定の原因によって説明されることのない症例を指します。
病気の予防や発症の遅延につながる可能性のある生活習慣や環境要因に関する研究も進んでいますが、現在、パーキンソン病を完全に予防する明確な方法は確立されていません。しかし、健康的な食生活、定期的な運動、ストレスの管理など、一般的な健康を維持する生活習慣が推奨されています。
パーキンソン病の治療は、病気を完全に治すことはできませんが、症状の管理と患者さんの生活の質の向上を目的としています。治療法には薬物療法、外科手術、および様々なサポート療法が含まれます。
薬物療法: 最も一般的な治療法は、レボドパを含む薬物療法です。レボドパは脳内でドーパミンに変換され、パーキンソン病の主な症状を軽減します。その他にも、ドパミンアゴニスト、MAO-B阻害剤、COMT阻害剤など、症状を管理するための様々な薬があります。
外科手術: 重度の症例では、脳深部刺激療法(DBS)が有効な選択肢となることがあります。DBSは、特定の脳の領域に電極を埋め込み、電気刺激によって症状を軽減します。
理学療法と作業療法: これらの療法は、患者さんの運動機能を改善し、日常生活の質を向上させることを目的としています。ストレッチや筋力トレーニング、バランスと協調性の練習が含まれます。
言語療法: 認知機能の問題やコミュニケーションの困難に対処するために推奨されることがあります。
治療は、患者さんの個々の症状、病状の進行度、および全体的な健康状態に合わせてカスタマイズされます。治療チームは、一般的に神経科医、理学療法士、作業療法士、言語療法士、およびその他の専門家から構成されます。
パーキンソン病と上手に付き合っていくためには、ちょっとした工夫が大切です。以下に日々を過ごすためのアイディアを挙げていきます。
住環境の安全性向上: 家の中の障害物を取り除き、滑りやすい表面には滑り止めマットを敷くことで、転倒のリスクを最小限に抑える。手すりの設置や、アクセスしやすい家具の配置にする。
定期的な身体活動: 軽い運動やストレッチは、筋肉の柔軟性を保ち、関節の可動域を維持するのに役立ちます。水泳やウォーキングなど、関節への負荷が少ない運動が推奨されます。
バランスの良い食事: 健康的な食事は、全体的な体調を支え、エネルギーレベルを維持します。特に、パーキンソン病では便秘に悩まれる方が多いので繊維質の高い食品や、水分摂取を意識することが重要です。また、運動しても栄養素が足りなければ、改善に影響しますので、
バランスのよい食事+体重管理と意識してカロリーを摂ることが大切です。
ストレス軽減: ストレスは症状を悪化させる可能性があるため、リラクゼーションや趣味を楽しむことが大切です。
コミュニティとの繋がり: 家族や友人、サポートグループとの繋がりは、情報共有、相互支援、精神的な応援を提供し、孤独感を軽減します。
特に患者会や支援団体とつながりをもつことで同じ病気の方の経験や生活のヒントをもらったり、最新の治療法や新薬の情報を手にいれやすくなるかと思います。
これらの戦略は、パーキンソン病を持つ人々がより充実した生活を送るための基盤となります。患者さん一人ひとりの状況に応じてカスタマイズし、日々の生活の中で実践していくことが重要です。
パーキンソン病の方のリハビリのヒント
YouTubeコントロールPDでお馴染み、理学療法士の「ノタックさん」と公認心理師の「あみちゃん」に執筆を協力していただきました
パーキンソン病においての運動
(非薬物療法の大切さ)
高負荷運動(高強度インターバルトレーニング:HIIT)
月1回更新予定 次回は11月上旬 テーマは「音楽とともにストレッチ」(予定) 乞うご期待!!
HALを用いたパーキンソン病の方向けの運動
HAL腰タイプは、足腰の弱った方などの体幹・下肢の運動をアシストする装着型サイボーグです。
お一人での運動が大変になった方に対して、身体が思い通りに動くようなサポート付きで運動することができます。
繰り返し練習することでHALを外した状態での自立を助けます。
ワイピング
股関節を上手に動かす練習の入門編です。
前にある机を拭く動作で安心して体を前に倒せる利点があります。
前屈
体をしっかり前に倒してからHALのアシストを使って体を起こします。
骨盤を動かすイメージを持つことがコツです。
前方リーチ
前方にある対象物に手を伸ばす動作です。
上体のバランスをとりながら遠くに手を伸ばす練習です。
離殿
立ち上がるための準備運動です
立ち上がりやすい足の位置や体重の掛け方を練習します。
立ち座り
HALのアシストを使いながら立ち座りをします。
お辞儀をするように重心を前に移してから立ち上がることがコツです。
スクワット
HALのアシストを使いながらスクワットをします。
お尻を突き出すようにして上体を倒すことがコツです。
前方ステップ
前後のバランス機能の向上を目指した運動です。前後方向に踏ん張りの効く体を目指します。
必ず何かに捕まって行なってください。お尻を後ろに突き出すように股関節を曲げていくことが大切です。
左右ステップ
左右のバランス機能の向上を目指した運動です。左右方向に踏ん張りの効く体を目指します。
必ず何かに捕まって行なってください。お尻を後ろに突き出すように股関節を曲げていくことが大切です。
腿上げ
下半身の強化と片足重心のバランス強化を目的とした運動です。
必ず何かにつかまって行なってください。