パーキンソン病のウェアリングオフ対策 -日常管理のヒント
パーキンソン病の経過年数と共に、お薬の効果が感じにくくなる「ウェアリングオフ」。
「急に体が動きにくくなって、外出先で困ることがある」といった、相談があります。
今回は、このような状況で悩まれている方やご家族の方に向けて、ウェアリングオフへの対処法6つをご紹介したいと思います。
ウェアリングオフって何?
ウェアリングオフとは、L-ドパ製剤が効いて症状が軽い状態(オン状態)と、効き目が弱くなって症状が出てくる状態(オフ状態)が、
1日の中で繰り返し現れる現象です。まるで波のように、調子の良い時間と悪い時間が交互にやってくるイメージです。
ウェアリングオフへの対処法6つ
1.お薬との上手な付き合い方
主治医と相談する事で、服薬のタイミングを少しずつ調整していった結果、安定した日常生活を送れるようになる方もいます。
2. 食事と水分摂取の工夫
「パーキンソン病と付き合いながら薬科大学の学長としてすごした6年間」の著者、北河修治先生によると
「私の経験では、夜遅い時間に宴会があって高蛋白食をたくさん摂取すると、翌朝のレボドパの効きが非常に悪くなります。」とのこと。
実際に、食事の時間を薬の服用時間からずらすことで、薬の効果が安定したという声を多く聞きます。
3.体を動かすコツ
ウェアリングオフ時にできる運動として、以下のようなものがあります。運動は、筋肉の硬直や運動機能の低下を緩和するのに役立ちます。
・ストレッチ : オフ時でも上半身は、動かせる方が多いので椅子に座った状態で上半身からストレッチを始めます。両腕を伸ばす。身体をひねる。
できれば、両下肢を軽くたたくようにして刺激を与えましょう。こわばりを和らげることができます。
・歩行訓練 : ウェアリングオフ時でも、サポートがあり歩行が可能であれば積極的に行いましょう。
転倒防止のため、平らな場所で短い距離から歩き始めるのがポイントです。
・椅子に座っていても出来る運動 : 無理のない範囲で、心肺機能を維持する運動を行います。
足の動きの改善に役立つ運動
https://youtu.be/mvACQIL4Ops?si=HnOgNuQMgTubYnfR
4. 専門家のサポート
定期的な理学療法は、多くの患者さんにとって心強い味方となっています。
個々の症状や生活スタイルに合わせた専門的なアドバイスが、日常生活の質を大きく向上させることがあります。
5. 心のケア
ウェアリングオフ時には、気分の落ち込みや不安が強くなることがあります。誰かに話を聴いてもらう、
サポートグループへの参加も、心理的な安定を保つために有効です。
また、オフの状態でもできることがあると気持ちを切り替えて、できることに目を向けるのも有効です。
オフの時間の過ごし方
https://youtu.be/xZSQlwtW5FI?si=hWZ1md_aje-sG7_6
6. 暮らしの中の工夫
転倒予防のための住環境整備は、多くの患者さんが実践している重要な対策です。介護保険を利用した住宅改修や福祉用具を活用して、
安全で快適な生活環境を整えることができます。
おわりに
ウェアリングオフは確かに大変な症状ですが、適切な対策と周囲のサポートがあれば、充実した毎日を送ることは十分に可能です。